2024年12月7日土曜日

やわらかいものばかり食べてるから歯並びが悪くなっている?


子供の虫歯が少なくなったというニュースの中で
歯科医師が取材を受けておられて、 「虫歯は減ったけど、歯並びは悪くなっている 最近の子供は柔らかいものばかり食べているからだ」
という趣旨の発言をされていました
もちろんテレビ局の編集もあるので、この先生の発言の真意はわかりませんし、 現代の子ども達が軟らかく、食べやすい食品を主に摂取するようになったため、 よく噛まなくなり、その結果として顎が小さくなり、歯並びが悪くなってきている と聴くと、なるほどなと思いますし、
ましてやテレビで歯科医師が言ってたら
それは正しいと思ってしまいますよね
では、それはホントなのでしょうか?

そもそも歯並びが悪くなったとは、いつの時代と比較してなのでしょうか?
戦前、古くても江戸時代後期や明治時代でしょうか?

人類の歯並びに大きな影響を与えた明らかなきっかけは確かにあります
それは人類が火を使うことを覚えた時です
火を使って調理することにより、
最近の子供が、硬い食べ物を避けてファストフードやインスタント食品を
摂るなんてレベルではないくらい軟食化をしました
ですので、いつと比べて歯並びが悪くなったかと言えば、
「縄文時代から約14500年かけて最近の子供は歯並びが悪くなった」です

東京大学大学院の海部准教授の研究チームによる
食事中に噛む回数と顎の形態変化の関係性の研究によると、 
噛む回数は、縄文時代-約4000回、江戸時代-約1465回、 戦前-約1420回、
現代-約620回と確かに徐々に減少しているそうです 
これは柔らかい食べ物が多くなったことと関係していると推測されます
また顎の形態変化に関して、江戸時代になって正面方向から見た時の
 下顎の骨の幅が縄文時代よりも細くなったと報告しています 
つまり、縄文人が火を発見し、かみやすい食生活を手に入れてから
 約14500年かけて下顎の幅が小さくなってきたと推定することができます 

逆に、江戸時代から現代に至るまでの約150年で 
噛む回数がさらに半分以下に減少しているのにも関わらず、 
下顎の骨の幅は変化の無いまま持続していると報告しています 
江戸時代から現代までの間にも食物が軟化して噛む回数が減少してきているが、 
下顎の骨の幅が小さくなっていないことから 
食物の硬さと現代の歯並びに問題がある子供の増加とは 関係がないと考えられます
 では、歯並びは悪くなっている原因は何でしょう?
 最近の研究結果から明らかになったのは、 
「永久歯が大きくなっている」ということでした 
昭和生まれの人より平成生まれの人の永久歯が大きくなってきている 
との報告があります 
したがって、歯並びが悪くなっている原因は、顎の大きさは変わらないのに、
 歯が大きくなったために並びきらないというものです 
 おじいちゃんやおばあちゃん、お父さんやお母さんと 
現代の子ども達の噛む回数は変わりません 
歯並びが悪いのは硬いものを食べないから、 
顎が小さくなってきているからではないのです 
遺伝の影響なのです 

そして、遺伝の影響と言えば、
最近の子供は歯の数が先天的に少なくなる割合が高くなっているとのことです
また永久歯の萌える順番も変わって来ているそうです
人類の進化として、歯の大きさや本数が変わっている過程にあるのは間違いなさそうです

しかし、硬いものを食べるのと歯並びが関係ないとは言っても、
やわらかいものばかり食べると健康面でのデメリットはありますので、
バランスのとれた食事を摂るように心がけましょう

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